中長期で投資する場合、株価がいくらになることを目指して投資するか、利確はいくらになったらするか、なんて考えますよね。
ただ、将来の株価を予測するのはとても難しいです。
今回は、利益予想から将来の株価を見積もる方法をご紹介します。
前回のボリンジャーバンドはどちらかというと短期的な目先の株価の分析ですが、今回は中長期視点の株価の見方になります。
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株価とは
将来の株価を予測する前に、株価はどうやって決まってくるのかを考えましょう。
株の分析では色々な指標が使われていて、どれもいいところがありますが、今回は利益に着目して考えて見ます。
企業は毎年営業活動を行い、利益を上げていますね。
その利益の一部を配当金として会社の持ち主である株主に還元したり、会社の次の成長へ投資したりしています。
当たり前のことですが、この利益が大きくなるということは、配当金が増える、企業のさらなる売り上げアップにつながる可能性があるということです。
そのため、利益が伸びている会社の株価は上昇しますね。
株価はいわばその企業の将来性を表していることになります。
将来の株価の予測方法
さて、本題の将来の株価の予測方法についてまとめます。
株価収益率(PER)と1株あたり利益(EPS)
株価収益率と、1株あたり利益で株価を考えます。
まずは、それぞれがどんな値か確認していきましょう。
株価収益率(PER)
株価収益率というよりPERと言った方が馴染みがあるかもしれませんね。
株価を見る時に一緒に確認することができるようになっている証券会社も多いですし、普段何気なく見ている数字だと思います。
PERはPrice Earnings Ratioの略です。どこの世界でもそうですが、意味のある言葉を英語の頭文字で表記することが多いです。
頭文字だけでなく、その元の言葉を知っているとより意味も理解できるので、なるべく略記前の言葉も調べて覚えるようにしましょう。
PERは、現在の株価を、1株利益(EPS)で割った値です。
PER = (株価) / EPS
今の株価は何年間の利益で元が取れるか、と言ったような見方もできます。
一般的にPER15くらいが平均とされていますが、業種により基準は様々です。
1株あたり利益(EPS)
EPSはEarnings Per Shareの略です。
1株あたりの当期利益なので、企業の稼いだ当期利益を、発行済株数で割ることで求めることができます。
EPS = (当期利益) / (発行済株数)
もちろんPERの算出式を変形しても求めることができます。
EPS = (株価) / PER
企業の利益が増えると、EPSも増えるので、EPSが増えている会社は成長している会社ということができます。
株価の予測方法
ここまでで、PERとEPSから株価との関係が見えてきましたね。
上で書いている式を変形すると、
株価 = PER × EPS
という構造が見えてきます。
将来の株価も同様に
将来の株価 = PER ×EPS(将来の予測値)
でも求めることができます。
PER: PERは業種や企業によって基準となる値が大きく異なります。10以下の企業もあれば100以上の企業もあるくらいばらつきます。 ですので、ここでのPERはその企業の過去のPERの平均値や、その業種のPERの平均値などを元に計算します。
EPS: 将来のEPSは会社四季報や、企業の中期経営計画などで公表されています。 将来のことなので、あくまで予想になってしいますが、ここではこの予想通りに利益が上がるものとして考えます。 もし、自分の予想する利益が四季報や中期経営計画と違うと思えば、自分の予想する利益(EPS)で計算するようにしてください。
PERは過去の値から、EPSは将来の値から算出
実際に計算して見る
日本電信電話(NTT)(9432)を例として計算してみようと思います。
通信業は比較的利益が安定して入ってくるという仮定のもと選びました。
中期経営計画のデータが2018年のものなので、最近のコロナや通信費の値下げ要求の影響を加味していないことにご注意ください。
あくまで例として計算します。
まず、中期経営計画を確認してみます。
※NTT中期経営計画より引用
中期経営計画では、2023年度のEPSは2017年度対比で50%増えることを目標としていますね。
このスライドではEPSが425円→640円となっていますが、このスライドの発表後の2020年1月に1株を2株に株式分割を行なっているため、今の株価で見るとEPSは半分です。(株式分割は株の取引を行いやすいように株式を分割することを言います。今回の場合では、100株保有していると分割後は200株になり、株価は約半分になるため、合計の価値はほぼ変わらないものになります。)
ですので2017年のEPSに対して2023年のEPSは、約210円→320円です。
次に、過去のPER推移を確認してみましょう。
調べて見ると、通信業やNTTのPERは平均で11程度で推移していることがわかります。
値下げ要求もあるため、今後PER11で推移するかは不透明ですが、ここではPERは11で計算します。
予想株価
中期経営計画をもとに2023年度のNTTの株価を試算して見ましょう。
2023年度EPS:320円
2023年度PER:11
2023年度株価 = 2023年度PER × 2023年度EPS = 320 × 11 = 3,520円
となります。
2020年9月25日時点でのNTTの株価は2,259円ですので、中期経営計画通りに利益が見込める、かつPERが一定で推移すると考えると現在の株価はかなり割安だと判断することができます。
ただ、この例の中期経営計画は少々昔に立てられたものなので、実際とは異なる点にご注意ください。
まとめ
”利益”に着目して、中長期で投資する場合の株価を予測方法を解説しました。
時価総額で考えたり、他にも株価を予測する方法はあると思うので、勉強して色々試して見ましょう。
株を持つ時にいくら将来の株価を計算しても、残念ながら未来はすぐに変化してしまいます。
定期的に業績のチェック、計算の見直しはするようにしてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。